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大原家。 三人掛けの淡いグリーン・ソファが一台と二人掛けの同系色ソファが一台向かい合い、間に樫の木で重厚に造られたテーブルがある。 ただ、姉妹二人だけだと逆に浮いてしまうようだ。 月明かりがかなりリビングに入ってくる。 「ねぇ、高木先生とアメリカでの婚姻制度がどう関係するの?」 菜月はようやく落ち着いて淹れた紅茶をテーブルにもっていき、興奮気味に話す姉の話をボーっと聴き入るだけだったが… だが、美月の話をよく聴いていたら 「アメリカでフィアンセビザを領事館などで取得しちゃうと、90日以内に結婚式を挙げなければならないの」 という一文が菜月の耳に強く残る。 「どういう意味か・・・わかるよね・・・?」 無言のままの菜月。 「すでに取得して日にちが経っていたら、もう、手遅れなのよ」 美月が書類をまとめながら話す。 菜月は姉が妹の恋心を知っていたことに驚いていた。 しかし、口には出さないその姉のささやかな気配りがただ嬉しかった… 「美月姉…私どうしたらいいの…?クラスメートにはいきなり航空券を渡されるし、先生は…結婚しちゃう…し…」 「菜月…」 …と、美月が口を開こうとした時に。 「私は許しません。教師とのお付き合いは」 ― 一刀両断で口火を切ったのは、私の母 大原 朋華 (おおはら ともか)。 東京に法人事務所を構える敏腕弁護士なの。 リビングのドアに腕を組みながら寄りかかる朋華。 美月は 「…今、天使が通ったわね」 と、菜月にジョークを交え微笑みかけ、強引に菜月の腕を引き寝室に連れ出す。 「待ちなさいっ!美月!!大事な、時期なのよ!!!」 美月は構わずズンズン突き進む。 ふと、美月は立ち止まり 「私は人生に失敗したの…妹には同じ轍を踏ませたくないの」 と、突っ切る。 二人は夜が更けるまで、話し合うことになる。 **************************************** 放課後。 菜月は一人、部室の中央にあるマイクに立っていた。 ラ ラ ラ ララ ・・・ と口遊む。 部室の陰に賢一が立っていたことを知らないで。 |
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